小田先生からのメッセージ

小田俊理 教授

小田研究室では、世界的にユニークなナノメートルスケールの新しい半導体量子構造を作製、制御する技術を開発し、シリコンベースのデバイスに応用する研究を行っています。

研究テーマとしては大きく4つに分けることができます。

1つめは「ナノ結晶シリコン形成と構造制御技術の開発」の研究です。ナノ結晶シリコンは直径10ナノメートル以下のシリコン超微粒子で、量子効果が物性を支配する新しい材料です。小田研究室では、プラズマを応用した新しい方法により、大きさの揃ったナノ結晶シリコンを作製する技術の開発を行っています。また、溶液を用いる方法や、ナノサイズのテンプレートの使用により、ナノ結晶シリコンを規則的に配列させる技術の検討を行っています。

次に「ナノ結晶シリコンを利用した機能デバイスの作製」の研究で、ナノ結晶シリコン作製技術と電子ビームリソグラフィによるナノ構造作製技術を駆使し、新しい機能デバイスの開発、及びその特性評価を行っています。たとえば、ナノ結晶シリコンを伝導層として用いる低電圧低真空で動作可能な平面型バリスティック電子放出素子や、ナノ結晶シリコンをメモリのノードとして用いるナノドットフラッシュメモリの研究を行っています。また、日立と共同で、電荷を保持したナノ結晶シリコンを含むフローティングゲートの機械的動作を利用した全く新しい原理のNEMSメモリ素子の研究も進めています。

このナノ結晶シリコン構造中の電子1個1個の状態を制御することで、従来の電子デバイスとは全く異なる動作原理に基づく「量子情報デバイス」の探索研究も行っています。左の図は電子ビームリソグラフィを用いて超微細構造を形成し、ナノ結晶シリコンと組み合わせることにより作製した電子1個で動く単電子トランジスタの特性です。また、英国ケンブリッジ大学との共同研究により、2つのナノ結晶シリコン構造中の2個の電子の間の量子力学的相互作用を直接観測することにも成功しました。この結果を応用し、将来の量子コンピュータの基本デバイスとなる量子ビット素子をシリコンで実現する夢に挑戦しています。

さらに、小田研究室では、次世代ULSI素子を考える上で、伝導や電荷保持を担うナノ結晶シリコンとともに重要な役割を担う絶縁膜にも注目しており、二酸化シリコンに変わる新しい高誘電率ゲート絶縁膜材料の研究も行っています。候補物質であるHf酸化物や希土類酸化物を実際に堆積、評価し、特性の向上を目指しています。また、現在、この新しい絶縁膜を新しい不揮発性メモリのトンネル膜に応用する研究にもチャレンジしています。

小田研究室は海外にも広く研究ネットワークを広げ国際共同研究を進めています。毎年、大学院生がケンブリッジ大学やサザンプトン大学に短期留学をしています。現在、小田研究室では、欧米アジア諸国から14名の留学生が滞在しており、自然に国際感覚が身に付く環境です。もっと、詳しいことを知りたい人は、いつでも気軽に研究室を訪ねてください。


小田研究室訪問記
ナノネットのインタビュー記事(PDF)
修士課程学生の受け入れ状況